んなもんねーよ！

という声が聞こえてきそうであるが、僕は彼女にはゴーゴー嬢としての才能があると思う。

はっ？

囲い込みの才能？

いやいやいや、ちょっと聞いてもらいたい。


僕がまだ旅行者虎であったとき、いつも一緒にタイに行く友人がいた。

彼がよく重鎮をペイバーしていたため、僕自身は重鎮を一度もペイったことがないが、重鎮に関してはクラブに一緒にいくことも多く、なんとなく彼女のことは知っているのである。


重鎮を初めて見たのは、重鎮が入店してまだ2ヶ月の18歳の時のことであった。

ニキビ面で、まだまだ野暮ったい顔。

他の嬢より勝っていることといえば、少し高い身長とその若さだけであろうかといった感じであった。


その当時といえば、R4は不良軍団全盛期である一方、R2にはめぼしい嬢はおらず、芋くさいイーサン直送の若い嬢ばかり。

ステージに立つ重鎮もまた、その中に完全に埋もれていた。


当時のR2はそんな状況であったので、客も今の半分以下。

その少ない客の一人が、若き重鎮を一度ペーバーしたことのある客であったようだ。

他の嬢が漫然とステージで踊っていたなかで、若き重鎮はその客だけを完全ロックオンし、その客の正面で踊り、目線を一切はずさなかった。

その客がチェックビンをウエイトレスに申し出た瞬間に。

踊りを辞め、甲高い声を上げ、地団太を踏み、猛烈な抗議をその客にする若き重鎮。

その客が出口に歩いていく際もステージの上を出口に向かって歩いて、出口に一番近いポールにつかまり、待ってーっと必死に出ていく客に向かって叫び呼び止めようとする。

俺も友人もそんなことをする嬢を見るのは初めてだった。

友人は、何たるパワーだ。

これはすごいゴーゴー嬢になるぞ。末恐ろしい。

とすぐにニキビだらけの芋くさい若き重鎮を召喚。

俺は隣で、お前完全タイプ違うだろうと思いながらも、その召喚の様子を見ていた。

友人についた重鎮はテンションが高く感じはいいのだが、英語が思ったように通じない。

友人の話す英語の半分程度しか聞き取ってもらえない。

ただ必至にボディーランゲージや笑顔でカバーしているためそんなに気まずくはならない。

友人はその後、その若き重鎮をペイバー。

俺も他の子をペイバーし、4人で20歳未満でも入場できるハリウッドに向かう。

タクシーのなかでは、重鎮がタイ語と拙い英語でハイテンションで、タクシーの運ちゃんまで巻き込み盛り上げる。

僕も友人も当時はタイ語が全くダメだったので、ほとんど何を話しているのか分からないがとにかくよくしゃべる。

ハリウッドの帰り、ホテルに戻る前に、soi23のラブシーンで食事をとる。

オーダーは嬢2人に任せる。

バリバリイーサン出たての重鎮のオーダーは辛いものばかり。

俺たちは、辛くて手も足も出ず水ばかり飲んでいた。

すると、それを見た重鎮は隣の友人にその激辛料理を食わせようとする。

友人は辛いからといってそれを拒否。

重鎮は

食べないとセックスなしよ

とか言い出す。

18歳にしてこのユーモア。

面白い！

無理やり、むちゃくちゃ辛い生エビみたいなやつを一皿完食させられる友人。

この嬢、末恐ろしい。

パワー＆ユーモア

それが重鎮のファーストインプレッションであった。



以降友人は一度の訪タイで一回は重鎮をペイるようになり、

それが続いて半年前。

その当時はすでにR2では各タレントが台頭するようになっていた。

重鎮もまた人気嬢の一人になっていた。

友人は今回の訪タイで重鎮を切ることを予定していた。

重鎮からのラインも訪タイ一カ月前から一切返信はしない。

万全の重鎮切り体制で臨んだ。


一週間の滞在、

友人と俺は早速R2に行った。

重鎮が友人の元にくるが、友人は完全にシカト。

重鎮が何を話しかけてもシカト。目も合わせない。

次の日にはさすがに重鎮こないだろうと思ったら次の日にもやってくる。友人はシカトを継続。

シカトされても、次の日には笑顔で接客しにやってくる。

それが一週間近く続いた。

すごい根性だ。

普通の嬢なら、一回シカトされれば心が折れる。二度と話しかけになんか行かない。

自分が人気嬢であればなおさらである。

それでも、重鎮は笑顔を作って、覚えた日本語を駆使して接客にやってくる。

営業職の鏡だ。

もし彼女が日本のビジネスマンならきっと立派なビジネスマンになっていただろう。

最終日。友人はついに折れた。

友人が彼女に折れて、ペイバーしたのである。





ゴーゴー嬢に、もっとも必要なものは何か

俺はパワーだと思う。

毎日、毎日、外国人相手に疑似恋愛を体験させる。

今日は日本の変態、明日は香港のマフィア、あさっては韓国のキチガイ、次の日はシンガポールの巨人。

圧倒的なパワーがいるのだ。ゴーゴー嬢には。

パワーがないと、日々めまぐるしく変わる顧客を満足させられない。

彼女には、そのパワーがある。



ただ、残念なことに、一つの作用には必ずその反作用が存在してしまう。

そのパワーは顧客を楽しませるという作用がある一方、

顧客を他の嬢には渡さない執着という反作用を生んでしまう。


タレント揃いの現在のR2で、顧客にとってその反作用はとても負担なのである。


きっと、今までそのパワーを向けてきた顧客が少なからず離れていると思う。

コジハルが美しくなればなるほど、カノンを始めとした新たな才能が成長すればするほど、

今後もその流れは進んでいく。

重鎮にとっては塞ぎこむことが多くなるだろう。


でも、そんな重鎮に俺は言いたい。

君には才能があるんだと。

ゴーゴー嬢にとって一番大切な才能が。



俺は今まで重鎮とはほとんど直接話したことはない。

友人の手前、今後召喚をすることも、ペイバーすることもないだろう。


でも俺は、才能ある君を影からずっと応援しているよ。






※文中に重鎮の年齢がデビュー18歳で現在21歳と記載してありますが
お前騙されてるぞとのご意見を何名かにいただきました。
誤嬢報失礼致しました。